家づくりでは、削れる無駄をしっかり削ることで、可能な限り予算を圧縮していく必要があります。
しかしその予算の圧縮を家そのものに集中させてしまうと、非常に暮らしにくかったり、逆に無駄なモノに余分な出費を強いられることになるので、全体的にバランスよくコストカットすることが大切です。
例えば、少しでも予算を圧縮しつつ、ある程度要望に沿った家を設計しようと思えば、多くの場合1階と2階の面積が同じか同じに近い、いわゆる総二階建て住宅になってくるのですが、こういった家は坪単価も安く、一見希望にある程度沿った住まいが出来上がったように感じるものの、その後の暮らしにおいて、なんらかの不便や不都合が出てくる可能性が高くなります。
●リビングが狭苦しい・・・リビングが片付かない・・・
家の予算を圧縮しようと思うと、家をコンパクトにする必要があるのですが、こうした場合、気を付けなければいけないのが1階の収納不足の問題です。
LDKを広くすれば、どうしても収納が少なくなってしまうし、逆に、収納を多く作ろうと思えば、LDKが狭くなってしまうということですね。
そしてそれを補うかのように、スペースが余りがちな2階にたっぷりと収納を作りますが、いつも着る服や子供たちのおもちゃなど、普段から頻繁に使うものに関しては一切役に立ちません。
2階までいちいち片付けに行くのはめんどくさいですからね。
それらは結局LDKのどこかに、それ用の置き家具を買って置くことになり、狭くなるわ、いつもグッチャグッチャにごった返すわ・・という状態になってしまいます。
●家事動線が長くなってしまう・・・
洗濯物の一連の作業もよく考えないと、遠く余計に手間がかかることになってしまいます。
2階のベランダまで干しに行くとなると、重いモノを持ったまま最長の家事動線を行き来することになるし、かといって勝手口から外に出て干すとなると取り込むために何回も往復しないといけなくなり、けっこう手間がかかってしまいますからね。
●丸見えの家 or 薄暗い家 になってしまう・・・
このような設計の家は、主に直射日光が当たる方向に窓を作っています。
となると、日当たりが良い土地では、外から丸見えになってしまうし、日当たりが悪い土地であれば、光が室内まで届かず薄暗い家になってしまいます。
そして、いずれにせよ周囲からの目線を防ぐために、主な窓には全てカーテンを設置するようになり、カーテン代という余分な費用が別途で発生してしまいます。
●外構(庭)工事に想像以上にお金がかかってしまう・・・
普通のデザインの家の場合、家そのものが普通なため、それを惹きたたせるためにも、また丸見え感を少しでも防ぐためにも、外構工事にそれなりの予算をとっておく必要があります。
また、1階の面積が小さい分、土地にも余分な余白が出来やすくなってしまうので、そもそも工事をしなければいけない面積が広くなってしまいます。
●老後に増築しなければいけない可能性が高くなる・・・
老後、もし足や腰が悪くなってしまったらどうでしょう?
そうなると、1階に部屋や洗濯干場を増築せざるを得なくなってしまいます。
老朽化したキッチンやトイレの取り替えや内装のリニューアルだけでもそれなりにリフォーム費用がかかるというのに、さらに増築までしないといけないとなると、その負担は、倍どころか3倍ぐらいまで跳ね上がってしまうことになります。
このように、家そのもののコストを落とすことに焦点を絞って家づくりをしてしまうと、非常に使い勝手が悪く、住みにくい家になってしまいます。
また、外構やリフォーム費用に余分な費用をかけないといけなくなるので、結果的に費用が高くついてしまいます。
ですから、最初にお伝えさせていただいたように、全体的にバランスよくコストカットしていく必要があるのです。